サージカルマスクの不織布について

〇サージカルマスクの構造
弊社でも輸入販売している使い捨てのサージカルマスクは、3PLYマスクというように3層の不織布で構成されています。
外側と内側の不織布はスパンボンドといい、間にメルトブローン(ブロー)というフィルターになる不織布が挟まっています。
実際にばらしてみましょう。

ご覧のようにスパンボンドは下の机が透けて見えるのに比べてメルトブローンは目が細かく透けていません。
メルトブローンがウィルス飛沫の通り抜けを防ぐフィルターとなり、スパンボンドがさらっとした肌触りや呼吸のしやすさを確保する役目をしています。
このスパンボンドとメルトブローンがどのように作られるか見てみましょう。

〇スパンボンドとメルトブローンの製造工程
不織布は、その名の通り織らない布のことです。繊維をふわっと積層した状態(ウエブ)をつくりこれを接着樹脂や熱や圧力で結合させ布を作ります。
不織布の原料は、綿や羊毛などの天然繊維、レーヨンなどの化学繊維、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維など様々ありますが、一般的にはポリプロピレンやポリエステルなどの合成繊維が多く使われます。サージカルマスクの原料はポリプロピレン(PP)が使われます。
スパンボンドの製造工程はを図にするとこのようになります。

①原料の樹脂チップを加熱で溶解
②ノズルから繊維状に押出しエジェクターで延伸
③長繊維をネットコンベアに直接集積しウエブを形成
④ウエブ熱ロールで熱溶着し同時にエンボスロールで型押しする

スパンボンドの特長
・溶出が続く限りエンドレスの長繊維で形成されるため、強度があり、寸法安定性がよい。
・熱でウエブを溶着するため、接着樹脂で溶着する不織布と比べ衛生的で安全。
・エンボスロールを変えることで、目付や風合いを自由に変えられる。
・製造工程が単純で、原料から製品まで一貫して作れるため高速生産ができる。

次にメルトブローンの製造工程です。

メルトブローンの製造工程は基本的にはスパンボンドと同じです。
①原料の樹脂チップを加熱で溶解
②ノズルから熱風で微細繊維を延伸・押出し
③吹き付けられた微細繊維でネットコンベア上にウエブを形成

大きな違いは熱風によって延伸・押し出すことで、繊維径を極細にできることです。
一般的なスパンボンドの繊維径は1.5~4.0デニールで、メルトブローンの繊維径は0.1~0.3デニールです。
(1デニール=9000mで1g)
メルトブローン法では、他の製造方法(乾式法や湿式法)では作れない細い繊維だけで構成される不織布が作れるのが特長です。

スパンボンドはおむつや土木資材・カーペットの基材など幅広く使われ、メルトブローンは様々なフィルターに使われることが多いです。

お使いの使い捨てマスクが気になったら、捨てる前に分解してみてください。

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